大自然の奇跡

 自然農法のお野菜の美味しさは独特のものがあります。その特徴は何でしょうか。ひとつは“風味”、もうひとつは“霊気(生命力)”の強さだと思います。ただ糖度が高く甘いというのではなく、酸味や旨味、時にはほろ苦さ等が絶妙のバランスでそのお野菜本来の美味しさを作り上げているようです。岡田茂吉師はこれを称して、『天与の味わい』と表現しました。人間が人為的に作り出した味ではなく、大自然の味付けという意味でしょう。自然農法のお野菜の味は、“雑味が無く透明感のある味”とも表現できますが、何よりも独特の“風味”を持っており、その風味が何とも言えない美味しさを醸し出しているように思います。この風味は何年かその土地で、自家採種(自分の畑で種をとる事)が繰り返されて、種がその風土に馴染む事によって生まれてきます。従って、野菜の風味はその土地の風土が生み出すと言えるでしょう。その土地でその畑で自家採種を繰り返すことにより、種はその土を、土はその種を憶え、大自然だけが生み出すことのできる“種”を作り出します。ここに、自家採種の素晴らしさがあります。

 現在スーパーで売られている野菜のほとんどが、F1の種(AとBを人工的に掛け合わせた交配1代目の種という意味)で作られています。F1の種から自家採取をすると、次の世代はバラバラの形質が出てしまうため、農家は種を採ることができず、種苗会社から毎年種を買い続けなければなりません。F1の種はいわゆる“コピー”のようなもので、種苗会社の意図に支配されてしまい、その地域に根付いた個性的な側面が失われてしまいます。(F1の技術そのものが悪いわけではありません)

 ある野菜の種を自然農法家の友人から分けて頂いた事がありました。作り始めた時は、それほど美味しいとは感じませんでした。ところが、自家採種を5年くらい繰り返したあたりから、その野菜は突然美味しくなったのです。

 農業における自然順応、自然尊重の精神は、自家採種抜きでは弱いものになってしまします。いい種と出会い、そして、その種が自分の風土に馴染み、『天与の味わい』を醸し出すまで時間のかかる作業ですが、そこに大自然の力によって奇跡が生まれる余地があります。『大自然に追随し、その恩恵に浴する』生き方こそが、これからの世界に必要とされているのではありませんか?

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